2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550026
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 伸一 Kanazawa University, 数物科学系, 准教授 (10282865)
|
Keywords | 液体ヘリウム / ナノ液滴 / 超流動 / 経路積分 / モンテカルロ法 / 量子クラスター / 硫化カルボニル / 量子シミュレーション法 |
Research Abstract |
当グループはこれまでに相関のあるボーズ粒子系に対する経路積分ハイブリットモンテカルロ法を開発してきた。この方法は小、中規模のボーズクラスターの物性を高精度に計算することができる。しかしながら、実験でしばしば用いられているナノ液滴クラスの大きさ(千から数千原子程度)になると幾つかの数値的な問題点を孕んでくる。特に、系のボーズ対称性を満足させるための置換サンプリングはクラスターのサイズと共に著しく困難になる。この問題を克服するために本年度は昨年度に引き続き、当グループで新規に開発した変分経路積分分子動力学法のテスト・改良を行った。この手法は、多粒子系の基底状態を精密に計算するように設計された方法である。この方法は、試行関数を出発点として、経路積分法を用いることにより自動的にそこから基底状態を取り出す方法である。この方法の特筆すべき点は、(特にボーズ粒子系は)数値的な厳密解を得ることができることにある。本年度は、固体ヘリウムに適用して、その物性を高精度で計算できることを示した。これは、用いた試行関数は、系の並進対称性を破らないものであるが、このような貧弱な試行関数でも対称性の破れた正しい答えを自動的に取り出せることを意味している。これは、固体・液体状態が共存するような量子クラスター/液体のような場合でも、有効な方法であることを示しており、類似の拡散モンテカルロ法にはない特徴である。
|
Research Products
(8 results)