2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属エノラート配位型シリカートの反応制御に基づく官能基化有機金属化合物の調製
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19550032
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
坪内 彰 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (40272637)
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Keywords | シリル転位 / シリカート / 銅エノラート / エノールシリルエーテル / アリール銅 / アルケニル銅 / 炭素-炭素結合形成反応 |
Research Abstract |
本研究では、sp2炭素原子からエノラート酸素原子へのケイ素原子の転位を利用する官能基化有機銅活性種の調製と有機合成への応用を行った。オルトシリルフェニルケトンに銅(I)t-ブトキシドを作用させ銅エノラートへ変換すると、t-ブチルジメチルシリル基の1,4-転位が進行し、エノールシリルエーテル構造をもつアリール銅が立体選択的に生成した。このアリール銅は様々な有機ハロゲン化物と反応しカップリング生成物を与えることを見出した。ケイ素置換基がジフェニルメチルシリル基の場合は転位と共にt-ブトキシドによるケイ素原子上での置換反応が進行し、(ジt-ブトキシメチルシリル)エノールシリルエーテル構造をもつアリール銅化合物が生成した。この有機銅化合物も有機ハロゲン化物と反応し立体選択的にカップリング生成物のエノールシリルエーテルを与えた。この様に、エノラート酸素の分子内配位によるシリカートの生成を経る適応範囲の広いアリール銅種の調製法を確立した。さらに、後者のケイ素上での置換反応の際に生成すると考えられるフェニル銅が有機合成に利用可能であることを、有機ハロゲン化物との反応性生物を確認することで明らかにした。一方、共役エノンへのマイケル付加で生成するエノラートへのケイ素原子の分子内転位についても検討した。α-シリル-α,β-不飽和ケトンにジアルキルクプラートをマイケル付加させた後、ヨウ化銅とDMFを添加すると生成した銅エノラートへの1,3-転位が進行し、エノールシリルエーテル構造をもつアルケニル銅化合物が生成することを見出した。引き続く有機ハロゲン化物との反応により立体選択的なエノールシリルエーテルの生成を伴う炭素-炭素結合形成反応へ展開できる可能性が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)