2007 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸性チューナブル化学種による触媒的官能基変換法の開発
Project/Area Number |
19550038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 誠 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40273601)
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Keywords | 錯体 / ルイス酸 / ホウ素 / 立体因子 / インジウム / ケイ素 / カップリング / 配位子交換 |
Research Abstract |
ルイス酸性を制御する手法の開発を目的とし、金属中心を包みこむ有機骨格を巧みにデザインした「かご型」金属錯体の合成とルイス酸性の緻密な制御を行った。その結果、トリフェノキシメタンを主骨格とする有機化合物とホウ素の反応により、かご型ホウ素錯体の合成に成功し、種々の誘導体を得た。特に、有機骨格の中心を炭素からケイ素に代えることで、かご型骨格の幾何構造を緻密に変化させる事に成功し、ホウ素の微妙なルイス酸性の制御が行えることを見いだした。配位子交換速度の比較により、ケイ素骨格が炭素骨格に比べて約百万倍速く配位子を解離する能力を有することがわかった。これは、今後のルイス酸設計において重要な指針を与えるものである。 アルコールの直接置換反応を触媒的に起こすことはこれまでほとんど報告がなされていない。また、その類縁体であるシリルエーテルや有機塩化物を基質として用いることもきわめて困難である。本研究ではインジウムを鍵とするルイス酸性を調整した多様な化学種を本反応をモデルとして試験し、ルイス酸性の強さの評価を行うとともに、反応達成を目指した。アリルシランおよびアルキニルシランをInC13/ヨウ素触媒において、アルキルシリルエーテルと反応させると、効率よく炭素炭素結合形成反応が進行し、直接的にカップリング生成物が得られた。他の通常反応性が高いと認識されている官能基よりも優先的にこのカップリングが進行し、合成化学的にきわめて有効に利用できる反応系として確立された。また、臭化インジウム触媒存在下、有機塩化物とケイ素エノラートの直接カップリング反応が効率よく進行することを見いだした。本手法はアルデヒド由来のシリルエノラートを本手法に用いることができることが判明し、タンデム型の多段階炭素炭素結合形成を一気にワンポットで行うことに成功した。
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