2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルバゾール二量体の電子物性の解明とその特徴を活かした新規な光機能性材料の創製
Project/Area Number |
19550040
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
谷 敬太 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (60207165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 弘行 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (00165094)
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50301239)
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Keywords | カルバゾール / カルバゾロファン / エキシマー / 光誘起電子移動 / シクロファン / 酸化還元電位 / ドナーアクセプター / 蛍光 |
Research Abstract |
光伝導性や青色発光などの興味ある光電子物性を有するカルバゾール発色団の二量化によって生じる基礎及び応用研究を行なっており、本研究は、2架橋系および3架橋系のカルバゾロファン類の合成法を確立するとともに、それらの構造および物性を検討することが目的である。本年度は、2架橋酸素系と3架橋アミド系の一般合成法の確立に成功した。カルバゾールの3,9位で架橋した2架橋酸素系[3.n](3,9)カルバゾロファン(n=4,5)は、部分重なり型構造であることが核磁気共鳴スペクトルからわかり、溶液中では上下のカルバゾールの間で特別な渡環相互作用は存在しないこと、その発光はモノマー発光であることがわかった。一方、3架橋アミド系[3.3.n](3,6,9)カルバゾロファン(n=3〜6)は、すべて重なり型の構造であり、その蛍光はすべてエキシマー発光を示す一方、りん光スペクトルでは(n=3,4)がエキシマー発光、(n=5,6)がモノマー発光であることがわかった。また、X線結晶構造解析からカルバゾール環の立体配置を詳細に検討することが可能となった。これらの結果を総合的に解釈することにより、カルバゾール発色団のエキシマー生成に関する基礎的な知見を系統的に解明することができた。今後、本研究により得られた成果に基づいて、カルバゾロファンとペリレンのような可視領域に強い吸収を持つアクセプター連結系を合成し、その構造、電子物性、光物性、酸化還元電位ならびに光誘起電子移動過程を調べる予定である。
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