Research Abstract |
ピリジンの4級化によるピリジニウム塩形成による活性化に関連して,ピリジニウム塩から発生できるピリジニウムイリドを経る高ジアステレオ選択的シクロプロパン化反応について既に報告しているが,その反応が,4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)により触媒されることを見出した。そして,DMAP自身とDMAPから誘導したピリジニウムイリドの反応性を比較することにより,DMAPがブレンステッド塩基触媒として機能していることが明らかになった。その反応を,触媒不斉反応に展開するために,ブレンステッド塩基として利用できる可能性のある新規な触媒候補として,ベンジル基を炭素からの側鎖として2つもつC2対称ピペリジンをデザインした。そこで,種々検討した結果,アミノ酸であるフェニルアラニンから11段階全収率53%で目的のキラルアミンを合成することができた。全体として段階数が多いものの,この一連の反応において,はじめの8段階はカラム精製を必要としなかった。この光学活性アミンが化学修飾可能な窒素を2つ有するために多くの誘導体をスクリーニングできる可能性をもつが,種々の誘導体を合成して検討した結果,4位にイソプロピル基を導入することにより,マイケル反応に有用な触媒に導くことができ,2-ベンジルオキシカルボニルシクロペンタノンをドナー,4-オキソ-2-ブテン酸エチルをアクセプターとするマイケル反応において条件検討の結果,ジアステレオ選択比が1:1とないながらも,エナンチオ選択性がそれぞれ最高で97%ee,93%eeとなった。
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