2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型新規有機不斉触媒を用いた含窒素複素環の不斉化学修飾反応の開発と応用
Project/Area Number |
19550042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小島 聡志 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (70215242)
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Keywords | 分子間-1,2-付加 / フラン / 第4級炭素 / ジアステレオ選択性 / 8-フェニルメンチル / 酸触媒 / 分子内-1,2-付加 / シス-4-オキソ-2-ペンテナール |
Research Abstract |
2-ベンジルオキシカルボニルシクロペンタノンをドナー,トランス-4-オキソ-2-ブテン酸エチルをアクセプターとするマイケル反応においてキラルピペラジン触媒を用いると高エナンチオ選択性が発現できることを昨年の報告書でも示したが,アクセプターとして類似のシス-4-オキソ-2-ペンテナールをアミンのない条件下で反応させたところ,2位に第4級不斉炭素原子を置換基として有するフランが形成することを見出した。このフラン化反応は,ヘキサフルオロイソプロピルアルコールや安息香酸のような弱い酸で加速され,強い酸ではフランが生成しないことがわかった。このようにアルケンの幾何学の違いとわずかな反応条件の違いだけで生成物が作りわけできる興味深い結果を得ることができた。また,検討の結果,効率よくフランを得るには,シスアルケンでなければならないことがわかった。そして,アミンが存在する場合は容易にシスアルケンがトランスアルケンに異性化するためにフランが形成せず,マイケル付加が優先して生成物が作りわけできることがわかった。弱酸で反応が促進されることから,種々のキラルな弱酸を用いて触媒不斉反応を検討したが,エナンチオ選択性は発現しなかった。これは初めの分子間-1,2-付加の逆反応が容易に起こるからと推測される。しかし,種々検討した結果,ドナーにキラル補助基として8-フェニルメンチルエステルを導入させてフラン化反応に用いると,96% d.e.の非常に高いジアステレオ選択性が発現することを見出した。
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