2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移状態データベースを用いた合成経路開発システムの開発
Project/Area Number |
19550044
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堀 憲次 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 教授 (30165568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 豪紀 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70264116)
隅本 倫徳 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40414007)
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Keywords | 合成経路設計システム / 情報化学 / 多変量解析 / 有機合成化学 / 溶媒効果 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
本研究では、コンピュータを用い、できるだけ実験を少なくして、「安価に」「早く」「安全に」「より機能を付加し」「環境負荷の少ない」形で新規化合物を開発・合成する手法の開発を目指している。本年度は、遷移状態データベースの増加、特に溶媒効果の評価及び検証に絞ったプロジェクトを進め、総合的な現実適用度の高い合成経路設計システムとして機能するTSDBを作り上げることを目的とした。 本研究室では、化学反応における溶媒の影響を量子論的に評価するために、量子力学(QM)計算を用いたモンテカルロシミュレーション(MC)に自由エネルギー摂動(FEP)法を組み合わせたQM/MC/FEP法を開発し、それをDiels-Alder反応、Cope脱離反応、Kemp脱炭酸反応に適応した。メチルビニルケトン-シクロペンタジエン間のDiels-Alder反応の活性化自由エネルギー(△G^≠)は26.2kcal/molと計算された。この値にQM/MC/FEP法により得られた溶媒和自由エネルギー(△G^sol)を加えた△G^≠(sol)は、水、メタノール、アセトン中でそれぞれ20.1,21.4,22.4kcal/molであり、実験値の19.2,21.6,23.2kcal/molとよい一致を示した。この結果は、Diels-Alder反応が溶媒中で加速され、溶媒の極性が大きくなるほど反応速度が大きいという実験事実と一致している。また、溶媒により大きく速度が変化するCope脱離、Kemp脱炭酸反応でも良好な結果が得られた。これらの結果は、QM/MC/IFEP法を適用することで溶媒による△G^≠(sol)変化をよく再現可能であることが示された。
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Research Products
(12 results)