2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規なジカチオン型ヘテロコロネンの合成と酸化還元特性の評価
Project/Area Number |
19550048
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 潔 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 助教 (40285101)
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Keywords | 縮合多環芳香族化合物 / アゾニア化合物 / コロネン / ヘテロコロネン / 光Diels-Alder反応 / 酸化還元特性 |
Research Abstract |
縮合多環芳香族化合物の炭素骨格の一部をヘテロ原子で置換した複素π共役系分子は、母体炭化水素にはない種々の特性を示し、有機光電子材料・有機磁性体・有機伝導体などへの応用が可能なことから、「新規な複素π共役系分子の開発」は基礎有機化学研究の大きな目標の一つとなっている。本研究は平成17-18年度の科研費(基盤研究(C))において得られた「モノアゾニアコロネン類の合成と物性評価」に関する研究成果を発展させて、「共役した2個の四級窒素を導入した新規なジアゾニアコロネンの合成法の確立とその酸化還元特性を明らかにすること」を目的としている。 平成19年度は、ヘリセンの分子内光Diels-Alder反応によるジアゾニアコロネンの合成において問題となっているピリドン型コロネンへの後続反応の抑制について、光照射時間の短縮による抑制を目指した数種類の改良合成経路を検討した。その結果、光反応前駆体の改良により、従来行っていた二重光閉環の代わりに一段階の光閉環でジアゾニアコロネンを得ることのできる合成経路の確立に成功した。新しく開発した合成経路では、課題であったピリドン型コロネンへの後続反応を完全に抑制することが可能となり、収率も大きく向上した。 合成に成功したジアゾニアコロネンの基本的な物性評価として、極性を変化させた溶媒中における各種(吸収・蛍光・NMR)スペクトル測定を行い、溶液中における自己会合体形成について解析したところ、電荷数の増加による溶媒和エネルギーの増大により、モノアゾニアコロネンで認められたような顕著な自己会合は起こさないことがわかった。また、サイクリックボルタンメトリー法により、還元電位の測定と還元種の可逆性について予備的な検討を行ったところ、4段階の可逆な還元波が観測された。現在、これらの結果について分子軌道計算による解析を行っている。
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Research Products
(5 results)