2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規なジカチオン型ヘテロコロネンの合成と酸化還元特性の評価
Project/Area Number |
19550048
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 潔 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 助教 (40285101)
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Keywords | 縮合多環芳香族化合物 / アゾニア化合物 / コロネン / ヘテロコロネン / 光Diels-Alder反応 / 酸化還元特性 |
Research Abstract |
縮合多環芳香族化合物の炭素骨格の一部をヘテロ原子で置換した複素π共役系分子は、母体炭化水素にはない種々の特性から有機光電子材料・有機磁性体などへの応用が期待できるため、新規複素π共役系分子の開発は基礎有機化学研究の大きな目標の一つとなっている。 本研究は平成17-18年度の基盤研究(C)「モノアゾニアコロネン類の合成と物性評価」の成果を発展させて、「共役した2個の四級窒素を導入した新規なジアゾニアコロネンの合成法の確立とその酸化還元特性を明らかにすること」を目的としている。 平成20年度は、ジアゾニアコロネンの合成において改善の余地がある後続反応の抑制について、合成経路を原料から見直した結果、6-アセチルベンゾ[b]チオフェンを出発原料とする薪しい合成経路を確立した。この新合成経路では、収率の大幅な向上のほか、窒素原子の導入位置の異なるジアゾニアコロネンも合成可能な経路となった。 合成に成功したジアゾニアコロネンの酸化還元挙動に関しては、サイクリックボルタンメトリー法を用いた昨年度の予備的な検討では、4段階と思われる可逆な還元波が観測されていたが、2段階目と3段階目の還元電位が接近しているため明確な証拠が得られていなかった。しかし、今年度新たにパルスディファレンシャル法を併用した詳細な電気化学的検討により、四段階1電子ずつの可逆な還元種の観測に成功した。 還元電位の値は、代表的なアクセプター分子であるメチルビオロゲンよりも貴側に位置しており、医薬品やエレクトロクロミック材料などへの応用が期待できることがわかった。
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