2007 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素化合物による不斉酸素化反応およびその触媒サイクルの構築
Project/Area Number |
19550050
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤田 守文 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (00275314)
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Keywords | 超原子価化合物 / 不斉合成 / 隣接基関与 / 不斉誘導 / 乳酸 / 酸化 / オキシ環化反応 |
Research Abstract |
1.乳酸側鎖を有する光学活性超原子価ヨウ素化合物を7種類合成した。X線結晶構造解析により、絶対構造およびヨウ素原子への配位構造を明らかにすることができた。 2.超原子価ヨウ素化合物によるアシロキシアルケンの酸化反応について詳細に調べた。 (1)アシロキシブテンの酸化的分子内環化によるテトラヒドロフラン生成反応において、副生成物であるケトンの生成を抑制するため反応条件および反応基質の最適化を行った。アシロキシ基が隣接基関与して生成するジオキサニルカチオン中間体を速やかに水で捕捉できる条件を整えると、分子内環化反応の収率が向上した。 (2)1,3-および1,4-不斉誘導をともなうジアステレオ選択的な酸化的分子内環化反応を行ったところ、ジアステレオマー比98:2の選択性で、2,4-二置換テトラヒドロフランおよび2,3,5-三置換テトラヒドロフランを得ることができた。この選択性はアシロキシ基の求核性と連動しており、超原子価ヨウ素の求電子付加とアシロキシ基の求核的隣接基関与とが協奏的に進行していることがわかった。 3.乳酸を不斉源とする光学活性超原子価ヨウ素化合物を用いて不斉合成反応を行った。アシロキシブテンの酸化的分子内環化反応において、最高64%eeのテトラヒドロフラン生成物が得られ、その選択性は基質の立体的な対称性に依存しており、超原子価ヨウ素化合物がアルケンのエナンチオ面を区別して求電子付加する過程が重要であることがわかった。
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Research Products
(3 results)