2008 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素化合物による不斉酸素化反応およびその触媒サイクルの構築
Project/Area Number |
19550050
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤田 守文 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (00275314)
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Keywords | 超原子価化合物 / 不斉合成 / 隣接基関与 / 不斉誘導 / 酸化 / オキシ環化反応 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、乳酸を不斉源とする超原子価ヨウ素試薬を用いて、分子内アシロキシ基が関与する不斉テトラヒドロフラン生成反応の立体制御の選択性向上と反応の最適化を行った。ヨードニオ基の両オルト位への置換基の導入により、反応部位の立体規制が強化されることを期待して、誘導体を4種類新たに合成し、反応に用いた。しかしこれまでの最高値64%eeを超えることはなかった。ただし、超原子価試薬の求電子付加の段階だけではなく、分子内アシロキシ基の求核的隣接基関与の段階も立体区別段階に含まれることがわかってきた。そこで、キラルなアシロキシ基をキラル補助基として導入した反応基質を用いて不斉テトラヒドロフラン生成反応を行った。キラル補助基のスクリーニングの結果、カンファン酸が効果的であることがわかった。基質構造によっても選択性は変化し、シリル置換基を導入した基質を用いた場合に、ほぼ単一のジアステレオマーが生成した。得られたテトラヒドロフラン生成物を塩基性条件下でキラル補助基の除去を行うと、ほぼ純粋なエナンチオマーが生成することを確認した。また、キラル補助基による立体制御が不十分な場合には、乳酸を不斉源とする超原子価ヨウ素試薬を用いた二重不斉誘起によって、高度な立体制御を達成できた。カンファン酸部位は単なるキラル補助基として働いているだけではなく、隣接基関与によってジオキサニルカチオン中間体の生成にも関与しているため、効果的な立体制御が可能になったと考えられる.
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Research Products
(1 results)