Research Abstract |
平成20年度は,平成20年度は,前年度で得られた研究成果を基に新規スルファンニトリル配位子((HN=)Ph_2S=E-SPh_2(≡N), E=CH(1), N(2)),(Ph_2S(=N-SPh_2(≡N))_2,(3))を用いて,1)有価金属の分離を指向した配位子修飾高分子膜の作製と分離能の評価,2)新規配位子を用いた触媒反応,3)新規発光性金属錯体の合成と発光特性について試みた。1)前年度,配位子1-3を抽出剤として,ポリエチレングリコール-硫酸ナトリウム水性二相系における各種遷移金属イオンの溶媒抽出実験を行ったところ,特定のpH領域において各種金属イオンが定量的に抽出できることを見出した。今年度は,同条件下でのランタノイド金属の抽出を試みたところ,Eu^<3+>およびYb^<3+>イオンに対して有効であり, pHの高い領域において効率よく抽出できることが分かった。また,配位子1を高分子膜(エポキシ基を有するポリグリシジルメタクリレートをグラフト化したポリエチレン膜)に修飾した分離膜の作製を種々検討したところ,配位子1のN原子脱保護反応が困難であることが分かった。2)前年度,中員環錯体を形成する配位子3を用いて, Co(II), Ni(II), Cu(II)およびPd(II)イオンの錯体を合成した。反応性についてはPd(II)-配位子3錯体を用いたフェニルホウ素酸と臭化アリールとのカップリング反応を試みたところ,対応するビアリール体が得られることが分かった。3)前年度,配位子1-3と1,10-フェナントロリン(phen)との混合Cu(I)錯体を合成した。本年度は,混合配位子型Pt錯体の合成に成功し,得られた錯体の発光特性を調べたところ,発光が確認でき,特に[Pt(phen)1]2CIO_4、錯体においては,室温,溶液中において発光が確認できた。
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