2008 Fiscal Year Annual Research Report
大環状化合物の特性を利用したフッ化炭素(C-F)のドナー性の研究
Project/Area Number |
19550052
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
武村 裕之 Japan Women's University, 理学部, 准教授 (60183456)
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Keywords | フッ素 / C-F…M^+相互作用 / C-F…HO水素結合 / X線結晶構造解析 / ^<19>F-NMR / シクロファン / クリプタンド |
Research Abstract |
炭素に共有結合したフッ素原子(C-F)が、遷移金属イオンやランタノイドカチオンと相互作用することを特殊な配位場を持つ大環状化合物を用いて明らかにした。ピリジン環4枚、フルオロベンゼン環2枚をもつ大環状かご形化合物と各種金属イオン(アルカリ金属イオン以外)との錯体を調製し^<19>F-NMRを用いてフッ素シグナルの化学シフトが中心金属のイオン半径と比例関係にあり、金属の種類によっていくつかのグループに分かれることを明らかにした。またHOとの水素結合C-F…HOが一般的に存在しうることを証明するために2-fluorophenyldiphenylmethanolと1-fluoro-4-methyl-8-naphtholを合成しX線結晶構造解析により構造を明らかにした。その結果、水酸基のOHプロトンはフッ素原子の方向に位置していること、C-F…HO距離はそれぞれのvan der Waals半径の合計より小さいことからフッ素原子がプロトンを引きつけていることがわかった。また、^1H-NMRによりOHプロトンはフッ素原子とカップリングしており、また参照化合物に比べて著しい低磁場シフトを起こしていることからC-F…HO水素結合の存在が確かめられた。以上により本研究の目的をある程度達成できた。これにより、近年長足の進歩を遂げてきたフッ素の化学に新たな基礎的な情報を付け加えることができた。これらの研究結果の応用として、・含フッ素基質に対する有機金属試薬の反応メカニズムの解釈を明確にできる、・フッ素ドナーを持つ新規ホスト-ゲスト化学の進展、超分子構造構築の基礎概念にできる、・対アニオンとしてフッ素原子を含むZiegler-Natta触媒において新たな活性能を持つ触媒の設計が可能となる、・含フッ素薬理活性物質の開発に重要なデータを提供することができる、等が考えられる。
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