2007 Fiscal Year Annual Research Report
パイ系剛直骨格の狭い空間を利用した新規立体異性体の設計
Project/Area Number |
19550054
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 真司 Okayama University of Science, 理学部, 教授 (80207646)
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Keywords | パイ系化合物 / 立体異性体 / 剛直環構造 / アセチレン / 立体障害 / カップリング反応 / 自己会合 / X線構造解析 |
Research Abstract |
2つのアントラセンの1,8位をアセチレンまたはジアセチレンで連結した剛直な環構造を利用して,環と置換基の立体障害に基づく立体異性体を創製するために研究を実施した.第一の基本構造として,2つのアントラセンをモノアセチレンで連結した環状化合物およびアントラセンの一つをアントラキノンに換えた化合物を合成した.対応するジェチニルおよびジョードアントラセン誘導体をSonogashiraカジプリシグで環化すると,低収率ながら自的化合物が得られた.X線構造解析の結果,アントラキノン誘導体では内側のカルボニル基がかなり面外に変形していることが明らかになった.また,アントラキノン誘導体は溶液中で自己会合を起こし,単量体と二量体の平衡混合物として存在する.会合に及ぼすアントラセン置換基の効果も調べた.第二の構造として,9位にアルキル基をもつアントラセンをジアセチレンで連結した化合物の合成経路を探索した.1,8-ジエチニルアントラセン誘導体のEglintonカップリングにより,環状化合物が得られた.アルキル基がブチル基の場合,内側アルキル基が環に対して同じ側および反対側に向いた立体異性体を単離することができ,本課題の主要目的の一つを達成した.X線構造解析および密度汎関数計算により,立体異性体の分子構造の特徴も明らかにした.アルキル鎖が環を通り抜けることにより起こる立体異性化の障壁を調べるために,種々の9-アルキル基をもつ誘導体の合成にも着手した.上記二系統の化合物の電子スペクトルの測定を行い,構造との相関を評価した.
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