2008 Fiscal Year Annual Research Report
パイ系剛直骨格の狭い空間を利用した新規立体異性体の設計
Project/Area Number |
19550054
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 真司 Okayama University of Science, 理学部, 教授 (80207646)
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Keywords | パイ系化合物 / 立体異性体 / 剛直環構造 / アセチレン / アントラセン / カップリング反応 / キラル / 立体障害 |
Research Abstract |
新しいパイ系化合物として,2つのアントラセンをアセチレンまたはジアセチレンで連結した剛直環構造を利用して,置換基との立体障害に基づく立体異性体を創製することを目的に研究を実施した.昨年度の成果に基づき,2つの内側置換基をもつジアセチレン架橋化合物の構造解析を行った.エチル,プロピル,ブチル基をもつ3系列の化合物をカップリング反応により合成し,後者2つの化合物では立体異性体(syn体,anti体)を単離することができた.分子構造の特徴および立体化学をX線構造解析とDFT計算により明らかにした.速度論的測定の結果から,アルキル基の長さと環への通り抜けを経由する異性化障壁の関係を示した.新しい構造として,2つのアントラセンをアセチレンとジアセチレンリンカーで連結した非対称構造に1つの内側置換基を導入した化合物を研究対象とした.エチル置換体はキラルな構造をもち,そのエナンチオマーをキラルHPLCにより分割することに成功した.エチル基の回転にともなうラセミ化の障壁は高く,60℃で長時間加熱してもラセミ化は進行しない.TDDFT法を用いたCD理論計算により,エナンチオマーの絶対立体化学を決定した.以上の2つの系列の化合物の合成と構造解析を通して,剛直環の立体障害を利用して立体異性体(ジアステレオマー,エナンチオマー)を生み出すための新規な分子設計を提案した.上記の全化合物について,紫外-可視吸収および蛍光スペクトルを測定し,分子構造と分光学データの相関を考察した.
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Research Products
(3 results)