2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体を基盤とする分子集積体の構築とその化学機能
Project/Area Number |
19550057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 名誉教授 (90007328)
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Keywords | 金属クラスター錯体 / 金属間結合 / 供与型金属間結合 / 混合金属錯体 / 白金錯体 |
Research Abstract |
本研究は, 交付申請書に記載したように, 「ここ10年程度にわたる集積型金属錯体に関する筆者の研究の中で重要な成果ではあるが, 若干のデータの補足が望まれるなど諸般の理由で未発表となっている成果を論文にまとめ公表すること, また, 予備的な研究成果を速報論文として報告してはいるが, 詳細な研究成果が未発表な研究についてフルペーパーを執筆・公表すること」を主目的としている. 本年度行った研究の主な成果は以下のとおりである. 「供与型白金-金属間結合の生成・利用」に関する研究において, アクセプターとしてCd(II, Ag(I)を用いた研究, および, 金属間結合を有するRh(II)複核錯体の反結合性金属間結合軌道をアクセプターとして用いPt→Rh供与型結合の生成によりPt-Rh-Rh-Pt 4. 核クラスターを形成させる研究について, 公表論文にまとめる作業を行った. これらの成果は、炭素配位の白金錯体を利用することによりドナー電子が入っているd_z2軌道のエネルギーを昇位させアクセプター電子の軌道エネルギーに近づけるというアイデアにより研究目的が達成されている. このテーマの一連の研究の共同研究者早稲田大学山口正教授は, 同じアイデアに基づき新たにIn(III), Tl(III), Hg(II), Au(I)などのd^<10>型金属イオン(M)をアクセプターとして用いた新規供与型白金-金属間結合を形成させることに成功した. 生成したPt-M結合距離はいずれも2.6-2.7Aと短く, しかもこれらの結合には供与型結合以外の補助的な結合性相互作用を有していない. この成果を山口教授との共同研究として国際配化学会議(2008.7, エルサレム)で発表した. 公表論文を作成中である.
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