2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールとの「微弱な相互作用」を利用したポリヒドリドクラスターの反応性の制御
Project/Area Number |
19550058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高尾 俊郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00313346)
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Keywords | ルテニウム錯体 / ヒドリドクラスター / 水素結合 / ベンゾキノン錯体 / レドックス活性 |
Research Abstract |
三核ルテニウムペンタヒドリド錯体へのアルコール分子の配位について検討し、アルコールの酸強度が平衡定数に大きく影響を及ぼすことを明らかにした。三核ルテニウムペンタヒドリドクラスターは5分子のアルコールとアダクトを形成するが、pKaが12.4のトリフルオロエタノールを用いた場合には平衡定数Kは110M^<-1>であったが、pKaが9.95のフェノールを用いた場合にはKの値は2100M^<-1>と、酸性度が高まることでアダクトが形成されやすくなることが明らかになった。一方で二核ルテニウムテトラヒドリド錯体とアルコール分子との相互作用は弱く、相互作用に関する情報を得ることは出来なかったが、二核錯体上に塩基部位としてp-ベンゾキノンを導入することで二核錯体への水素結合の影響を影響を定量的に評価することに成功した。二核ルテニウムテトラヒドリド錯体はベンゾキノンと定量的に反応し、ベンゾキノンが2つのルテニウム間でsyn-η^2:η^2-配位した架橋ベンゾキノン錯体を生成する。このキノン配位子へのアルコールの水素結合の強度ならびに金属中心へ及ぼす電子的な影響についてUV-visスペクトル、IR、NMR、サイクリックボルタモグラムによって定量的に評価した。アルコールとしてフェノールを用いた場合にはアダクトの単結晶を得ることができ、単結晶X線構造解析から水素結合の存在を確認することができた。さらに、水素結合によって錯体の反応性が大きく向上することも明らかにした。二核の架橋ベンゾキノン錯体とアセチレンとの反応では、アセチレンが金属-ヒドリド結合に挿入し架橋ビニル錯体を形成するが、ベンゼン中での反応に比べメタノール中では反応速度が3倍になることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)