2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールとの「微弱な相互作用」を利用したポリヒドリドクラスターの反応性の制御
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19550058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高尾 俊郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00313346)
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Keywords | ルテニウム錯体 / ヒドリドクラスター / 水素結合 / 異種金属クラスター / 垂直配位型アルキン錯体 / 垂直配位型アルキン錯体 |
Research Abstract |
これまでに三核ポリヒドリド錯体とアルコールとの相互作用について検討し、過剰のアルコール存在下では5分子のアルコールがヒドリド錯体と弱く結合したアダクトを形成することを明らかにしてきた。ヒドリドクラスターとして骨格内にイリジウムを含むテトラヒドリド錯体(Cp^*Ru)_2(Cp^*Ir)(H)_4(1)についても同様なアルコールアダクトの生成を確認したが、イリジウムを含む異種金属錯体のアルコールアダクトはルテニウム錯体の場合とは異なり、高い反応性を示すことをフェニルアセチレン、酸素との反応を通じて明らかにしてきた。これまでにアルコールアダクトの反応は中間体としてカチオン性ペンタヒドリド錯体[(Cp^*Ru)_2(Cp^*Ir)(H)_5]^+(2)の生成を経て進行することを明らかにしてきたが、本年度はカチオン性のペンタヒドリド錯体2を合成し、2と不飽和炭化水素類との反応について検討することでクラスター上のプロトンの影響について調べることとした。3-ヘキシンとの反応では垂直配位型アルキン錯体が得られたが、クラスター上で不飽和結合部分の転移が起こり、3-ヘキシン錯体と2-ヘキシン錯体の混合物が得られることを明らかにした。ここで得られた混合物を45℃に加熱することで全て2-ヘキシン錯体へと異性化することも明らかにした。このような転移反応は中性のアルキン錯体では見られないものである。また、シクロペンタジエンとの反応では、ほぼ定量的に垂直配位型シクロペンチン錯体が生成した。等電子構造の三核ルテニウムペンタヒドリド錯体とシクロペンタジエンとの反応ではC-C結合の切断によってnido型のルテナシクロペンタジエン錯体が得られている。アルキン類との反応では三核ルテニウム錯体の場合と類似の生成物が得られたが、環状ジエンとの反応では生成物は大きく異なるものであった。これはC-H結合の切断に対してIrが高い活性をもつためと考えられる。
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Research Products
(7 results)