2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550060
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金森 寛 University of Toyama, 理工学研究部, 教授 (00019001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會澤 宣一 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60231099)
松郷 誠一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30148126)
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Keywords | 振動反応 / バナジウム錯体 / 酸化還元反応 |
Research Abstract |
バナジウム錯体が誘起する新規な振動反応の機構を解明するために,以下の実験を行った。1.最終的に生成される錯体の単離と同定:振動反応が十分進行した後の反応溶液から,淡緑色錯体を単離した。しかし,この錯体は単一物質ではない事がわかり,現在精製を試みている。2.酸化剤として働いている酸素分子の影響:溶液中の酸素濃度を変化させて,それに伴う振動反応パターンの変化を調べた。酸素濃度測定には,申請の酸素濃度計を使用した。その結果,酸素濃度が著しく低いと振動反応は起こらず,溶存酸素が酸化反応に関与している事が明らかとなった。さらに興味深い事に酸素濃度がある程度以上になった場合にも振動反応が起こらなかった。このことは系が振動するためには,ある範囲内の酸素濃度が必要であることを示している。3.アルデヒドの役割:反応系にベンズアルデヒドを添加すると振動反応の誘導期間が短縮される。そこで他のアルデヒドにも,そのような効果があるのかを調べた。その結果,ベンズアルデヒドでは全ての系で誘導期間短縮効果が見られたが,他のアルデヒドでは系によって効果が異なることが分かった。現在,ベンズアルデヒドが特異的な効果を示す原因を追究している。4.振動反応パターンに影響を及ぼす反応条件の探索:この振動反応は周期的ではなく,カオス的に起きる。そこでこのカオス反応の引き金となる要因を探索した。その結果,小さな温度変化がカオス反応の引き金の一つであることが分かった。すなわち,系の温度が低下すると酸化反応が促進される。しかし,この温度効果はいわゆるサーモクロミズムではない。さらに,紫外線照射も引き金になる事が分かった。溶液に紫外線を照射すると酸化反応が進行し,照射を止めると還元反応が進行する。一方で,長時間の照射は還元反応を阻害する。 現在,これらの事についてさらに詳しく検討している。
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Research Products
(1 results)