2007 Fiscal Year Annual Research Report
チオラート配立子で連結した分子性多核金属錯体の構造制御
Project/Area Number |
19550061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 剛 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (50311717)
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Keywords | 多核金属錯体 / チオラート / 金属クラスター / ニッケル錯体 / ホスト-ゲスト / 大環状 / [4Fe-4S]クラスター / 三座チオラート |
Research Abstract |
金属上に可逆に配位できるチオエーテル部をもつチオエーテル-チオラート混合型配位子RSCH_2CH_2S-(R=Me, Et)と、かさだかいチオラートである'BuS^-を併せ用いることで、新規なニッケル環状10核錯体[Ni(μ-SCH_2CH_2SR)(μ-S^/Bu)]_<10>が選択的に合成できることを見いだしていたが、その反応条件を種々検討したところ、少量ではあるがより大きな環サイズをもつ新規なニッケル環状12核錯体[Ni(μ-SCH_2CH_2SR)(μ-sSB^/u)]_<12>が得られることがわかった。結晶構造解析の結果、この12核錯体は楕円状の環構造を有しており、環の内孔には配位子のチオエーテル鎖が入り込むことによって環構造を安定化していると考えられる。また環状10核錯体で見られたような結晶溶媒の環内への取り込みは見られなかった。 チオエーテル-チオラート混合型配位子のチオエーテル部分を、Nドナーであるピリジル基およびジメチルアミノ基に代えた配位子を用いて同様の反応を検討したところ、いずれの場合にも上記と同様の環状ニッケル10核錯体が得られた。この結果は、大環状構造構築の過程に可逆に配位できる部位が存在することが重要であることを示しているとともに、最終的な生成物の環サイズを決定する上で重要な要因は、もうひとつのチオラートである'BuS^-のかさ高さであることを示唆しており、一連の多核錯体の構造制御を行っていく上で重要な指針を得ることができた。
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Research Products
(3 results)