2008 Fiscal Year Annual Research Report
チオラート配位子で連結した分子性多核金属錯体の構造制御
Project/Area Number |
19550061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 剛 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (50311717)
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Keywords | 多核金属錯体 / チオラート / 金属クラスター / ニッケル錯体 / ホストーゲスト / 大環状 / [4Fe-4S]クラスター / 三座チオラート |
Research Abstract |
前年度までは、二座キレート型チオラート類を用いた多核金属錯体の構造制御を検討してきたが、その手法を発展させ、三座チオラート配位子を用いた鉄スルフィド錯体の構築を開始した。[4Fe-4S]クラスターの3つの鉄にキレート配位できるトリチオールTemp(SH)3を設計、合成し、[Fe_4S_4(SEt)_4]^<2->との反応によって三座配位子と1つのエタンチオラートが配位した[Fe_4S_4(SEt)(TempS_3)]^<2->を合成した。これを出発物質とし、エタンチオラート配位子の選択的な置換反応を検討した。 硫化水素との反応では、ヒドロスルフィド基をもつ[Fe_4S_4(SH)(TempS_3)]^<2->が生成し、これを減圧下で処理すると、硫化水素の一部脱離をともなって2つ、もしくは3つの[4Fe-4S]クラスターがスルフィドによって連結されたクラスター{[Fe_4S_4(TempS_3)]_2(μ-S)}^<4->,{[Fe_4S_4(TempS_3)]_3(μ-S)}^<5->が生成することがわかった。またイミダゾール配位子(Im)をもつ[Fe_4S_4(Im)(TempS_3)]^-やカルボキシラートを有する[Fe_4S_4(O_2CR)(TempS_3)]^<2->を合成することにも成功し、これらの配位子を足がかりとした[4Fe-4S]クラスターの集積化が可能であることが明らかとなった。 これらの化合物は生物無機化学の面からも重要である。生体内には、[4Fe-4S]クラスターの3つの鉄上にシステインチオラートが配位し、残る一つの鉄上にヒスチジンイミダゾールやアスパラギン酸アニオンが配位した[4Fe-4S]クラスターが存在するが、その生物学的意義は未解明であり、本研究はその端緒を拓くものと期待される。
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[Journal Article] Structural Models for the Active Site of Acetyl-CoA Synthase : Synthesis of Dinuclear Nicke Complexes Having Thiolate, Isocyanide, and Thiourea on the Ni_p Site2009
Author(s)
Ito, M., Kotera, M., Song, Y., Matsumoto, T., Tatsumi, K.
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Journal Title
Inorg. Chem. 48
Pages: 1250-1256
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cationic and Anionic Dinuclear Nickel Complexes [Ni(N_2S_2)Ni(dtc)]^n(n =-1, +1) Modeling the Active Site of Acetyl-CoA Synthase2009
Author(s)
Song, Y., Ito, M., Kotera, M., Matsumoto, T., Tatsumi, K.
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Journal Title
Chem. Lett. 38
Pages: 184-185
Peer Reviewed
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