2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子移動反応をプローブとしたイオン液体の配向緩和過程に関する研究
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19550062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 秀夫 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 准教授 (70242807)
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Keywords | Ionic Liquid / Orientation Reorganization / Electron Transfer / Solvent Property / Reaction control |
Research Abstract |
化学反応を支配する諸因子の定量化は、化学現象を物理的に捉え、化学を科学として発展させる上で極めて重要であるが、複雑に絡み合った複数の要素を効果的に分離する手段が見つからないために、この分野の研究は定性的な議論に終始していることが多い。本研究者は、粘性の高いイオン液体中において、分極した遷移状態を経て進行する反応の周波数成分が極めて小さいことを見出した。このことは、溶質分子の活性化に伴う分極状態を安定化させるために、イオン液体を構成する各コンポーネントが、きわめてゆっくりと緩和することを示している。本研究ではこのようなイオン液体に特有の配向変化の遅れを能動的に利用して、溶媒の配向変化に敏感な電子移動反応の外圏活性化成分を分離して観測することにより電子移動反応の内圏成分と外圏成分の定量化を可能にするとともに、電子移動反応をプローブとした溶媒配向過程の詳細を解明することを目的とする。また、このような解析法に立脚して、一般的化学反応をイオン液体中で観測することによって、反応機構を解明するための基礎原理の構築をおこなうことを最終的な目的としている。2007年度には各種イオン液体の合成を生成法の検討を始め、光電子移動反応過程の研究に適した反応系の模索と予備実験を行った。その結果、各種ポリピリジンの配位した銅(I)錯体とニトロベンゼン系失活剤の組み合わせがが最適条件を提供することを見いだし、その精製と結晶構造の検討を行った。
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Research Products
(5 results)