2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子移動反応をプローブとしたイオン液体の配向緩和過程に関する研究
Project/Area Number |
19550062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 秀夫 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 准教授 (70242807)
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Keywords | 電子移動反応 / イオン液体 / 配向緩和 / 外圏緩和 |
Research Abstract |
アルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルフォニル)イミド系イオン液体の合成と精製/水分除去を行うとともに、これらイオン液体の各種物性値の測定と、これらイオン液体中における比較的速い電子移動反応系の反応速度の測定を行った。反応系としては、光励起状態が大きな吸収を示す銅錯体とニトロベンゼン系化合物、ならびにアセチルアセトナト系金属錯体による電子移動消光過程を検討した。 具体的には、[Cu(dpp)_2]^+錯体の光励起状態からのエネルギー移動と電子移動反応を観察することによって、酸化剤として用いた、パラジニトロベンゼン、パラクロロニトロベンゼン、ニトロベンゼンとの電子移動反応による消光過程を観測した。これらの反応は、既に分子性液体中での反応機構の詳細が判明しており(IC, 32, 2393(1993)参照)、イオン液体中での反応との違いを定量的に評価できると考えたからである。ニトロベンゼン系化合物による消光過程は、これらニトロ化合物の三重項状態が、銅錯体の励起状態よりエネルギーが高いために、エネルギー移動は起こらないので、電子移動反応による消光しか起こらないことがわかっている。実験の結果、これらの反応がマイクロ秒程度の極めて遅い消光過程を含んでいることがわかった。このような遅い過程は、分子性液体中では観測されておらず、この過程の詳細解析を行うことによって、イオン液体の遅い配向緩和過程を検討できるものと考え、鋭意研究を続けている。
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Research Products
(5 results)