2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550063
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
末延 知義 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (90271030)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 光物性 / 水素 / 燃料電池 / 二酸化炭素固定 / 超分子化学 / 再生可能エネルギー / 環境負荷の低減 |
Research Abstract |
水素(H_2)は、各種物質の合成、還元、石油の水素化脱硫、水素化分解、燃料電池などの多様な用途があり、産業上のあらゆる分野で必要とされている。研究代表者は、最近、常温常圧水中の極めて温和な条件で、ギ酸を分解して水素を発生させる全く新しい有機金属イリジウムールテニウム複核金属錯体触媒を発見した。本申請研究では、この発見をべースに、さらにその触媒能の向上を目指して、ギ酸から効率良く水素を取りだすことのできる金属錯体触媒を探索し、開発することを目的として研究を行った。研究期間内で、ロジウムヒドリド錯体が、常温水中という温和な条件でギ酸分解水素発生反応の触媒として機能することを見出し、国際論文とし報告した。このヒドリド錯体では、プロトンの同位体交換反応が進行し、その結果、選択的な重水素(HD, D_2)発生が可能となることを見出し特許出願した。水中で単核金属錯体を触媒として用いてCO_2を水素によりギ酸に変換して固定化する既存技術と、本研究で開発したギ酸分解手法を組み合わせることで、水素発生と同時に生成するCO_2を再び水素貯蔵媒体として用いることができ、CO_2を大気中に放出することなく循環させることで、水中で稼働する水素発生一貯蔵システムが構築可能となる。
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