2007 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキソヘテロポリタングステートの構造制御-溶媒と陽イオンが担う役割とは?
Project/Area Number |
19550065
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
橋本 正人 Wakayama University, システム工学部, 准教授 (50237947)
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Keywords | タングステン / ヘテロポリオキソメタレート / ペルオキソ錯体 / 溶液内反応 / 自己集積化 / 結晶構造 / 多核NMR / 超分子化学 |
Research Abstract |
平成19年度は、以下の三点について主に検討し、各項目に示す結果を得た。 1.構造的に関連の深いP:W=2:3、2:6及び3:6型ペルオキソホスホタングステートの溶液内形成における溶媒組成効果:これら三種のポリアニオンは、水溶液系および水/アセトニトリル混合溶媒系で形成する。溶媒組成とアニオン形成の関連を^<31>P及び^<183>W NMRで追跡し、結晶合成条件下において水溶液系では主にP:W=2:3が生成し、有機溶媒を加えることでP:W=2:6、3:6のものができること、さらに有機溶媒の割合を増やすとこれらのアニオンを濃縮した粘性溶液が生成することわかった。 2.アルカリ金属を鋳型とする環状ペルオキソホスホタングステート形成における共存陽イオン等の効果:K^+を用いて得られていた環状ペルオキソホスホタングステートについて、共存陽イオン、pH、過酸化水素濃度、原料濃度比のアニオン形成に対する影響をアルカリ金属核及び^<31>P NMRにより追跡した。その結果、Rb^+、NH_4^+では同形のアニオンが形成するが他のアルカリ・アルカリ土類・有機アンモニウム陽イオンでは形成しないこと、ある程度の範囲でK+濃度のモニタリングが可能なこと、アニオン形成がpHや濃度条件に極めて敏感であることが明らかとなった。 3.フレキシブルな構造を持つペルオキソジホスファトタングステートのアニオンと結晶内三次元構造形成における共存陽イオンの役割:共存陽イオンのアニオン形成に及ぼす影響と結晶内でのリンカーとしての役割を^<31>P NMR及び結晶構造から検討した。その結果、結晶中でのアニオンは常にK^+またはRb^+を伴っているにもかかわらず溶液内でのアニオン形成にはこれらは関与しないこと、K^+、Rb^+の他Na^+、NH_4^+などにより多彩な三次元構造を形成することが明らかとなった。
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