2009 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキソヘテロポリタングステートの構造制御-溶媒と陽イオンが担う役割とは?
Project/Area Number |
19550065
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
橋本 正人 Wakayama University, システム工学部, 准教授 (50237947)
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Keywords | タングステン / ヘテロポリオキソメタレート / ペルオキソ錯体 / 溶液内反応 / 自己集積化 / 結晶構造 / 多核NMR / 超分子化学 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき、平成21年度は以下の点を検討し、各項目に示す結果を得た。 1.P (V)以外のヘテロ原子の導入 ヘテロ原子としてB (III)(ホウ酸)を用いた場合に、新規アニオン[H4BW8020(02)12]9-を得た。溶液内反応は検討中であるが、K+が重要な役割を果たしていると思われる。また、結晶に多型があることを確認した。S (VI)(硫酸)では、Rb+と水/有機混合溶媒を用いることで[S2W6023(02)4(OH2)2]6-を得た。合成では、溶媒と陽イオンの選択が重要であることが示された。 2.水と混合する有機溶媒の種類の検討 有機溶媒として、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、リン酸トリメチルの使用を試みた。その結果、溶解度などの問題から、多くの場合従前どおりアセトニトリルが有効であることが判った。しかし、ヘテロ原子を含まないタングステン系では、エタノールを用いた場合のみ一次元ポリマー構造を有する結晶を得た。また、カルボン酸を配位させる試みでは、リン酸トリメチルが極めて有効であった。 3.ピロリン酸-タングステン系のNMR 本系の溶液内における反応はわずかな条件変化に極めて敏感であり、反応解析のためのNMR測定に問題があった。共存陽イオンのみならず共存陰イオン、各作業の所要時間、容器、その他細かな条件をコントロールすることで再現性と信頼性の高いデータを得ることが出来た。現在、測定と解析を継続しているところである。 4.NMRで検出されたアニオンの単離・単結晶化、構造解析を目的とした結晶の質の改善 扱っている幾つかの系について結晶の質の改善を試みたが、良好な結果は得られていない。現在も検討を継続している。また、NMRで観測されたアニオンの単離・単結晶化も行っているが、溶液条件・対陽イオンの組み合わせを種々検討したもののあまり良好な結果は得られていない。現在も検討を継続している。
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