2007 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性遷移金属錯体の構築を目指した新型炭素系配位子の開発
Project/Area Number |
19550066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 和幸 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (90263665)
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Keywords | カルボジホスホラン / ピンサー配位 / リンイリド / 炭素配位子 / オルトメタル化 / CH活性化 / PC活性化 |
Research Abstract |
カルベン様炭素配位子であるカルボジホスホラン(R3P=C=PR3)は触媒種の活性化と保護、反応の立体制御といった、支持配位子として求められる機能を高い次元で達成できる可能性が高い。今年度は触媒としても有用な種々のパラジウム錯体とヘキサフェニルカルボジホスホランとの反応を検討し、その多様な配位様式を明らかにした。 1.パラジウム上にクロロ配位子を有する錯体とカルボジホスホランとの反応では、まずカルボジホスホランが中心炭素でパラジウムに配位した単座配位錯体が生成し、その後フェニル基の酸化的付加、HClの還元的脱離を伴ってオルトメタル化が進行することを見出した。これを基に、出発錯体としてクロロ配位子を1つ導入した錯体を用いることによって、2座配位錯体を、また、クロロ配位子を2つ導入した出発錯体からは2度のオルトメタル化を伴った3座配位錯体を合成することに成功した。以上のように、パラジウム上の配位子や反応条件の制御により、カルボジホスホランの単座配位錯体、ならびにフェニル基のCH活性化(オルトメタレーション)を伴った二座、三座配位錯体を作り分けることに成功した。さらに、パラジウム上にアセチルアセトナト配位子またはその類縁体を有する錯体とカルボジホスホランとの反応においては、カルボジホスホランが二座配位した錯体の構造解析に成功し、そのカルベン様炭素のトランス影響などの詳細について検討した。 2.テトラメチルエチレンジアミンと2つのメチル基をパラジウム上に有する錯体とカルボジホスホランとの反応においては、カルボジホスホランの1つのフェニル基がPC結合の活性化を伴ってパラジウム上に転位する新たな骨格変換反応を見出した。この反応はカルボジホスホランが単なる支持配位子としてだけではなく、反応性配位子としてさらに多様な配位様式を示すことを示唆する。
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Research Products
(9 results)