2010 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性遷移金属錯体の構築を目指した新型炭素系配位子の開発
Project/Area Number |
19550066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 和幸 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90263665)
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Keywords | カルボジホスホラン / 骨格変換 / 炭素供給源 / ピンサー型配位子 / 炭素配位子 / P-C結合活性化 / 不斉配位子 / カルベン錯体 |
Research Abstract |
今年度は、21年度に見出された、カルボジホスホランPh3P-C-PPh3の中心炭素-リン結合の切断を伴う骨格変換反応をさらに詳細に検討した。オルトメタル化を経由してピンサー型で配位したカルボジボスホラン-ロジウム錯体(CCCピンサー型錯体)を加熱すると1つのリン-炭素結合の開裂を伴って、新たなPCCピンサー錯体が生成する。種々の検討から、この反応においては、カルボジホスホラン炭素からのボスフィンの脱離をともなう、カルベン中間体を経由する機構が示唆された。この結果を基に、さらに反応条件を検討することによって、もう一方のリン-炭素結合を開裂させることに成功し、新規なPCPピンサー錯体を単離することができた。カルボジホスホランは形式的にリンで安定化された「裸の炭素原子」と見ることができる。本研究で見出された骨格変換反応は、カルボジボスホランのリン-炭素結合を切断し、これを新たなC1供給源としても利用できることを明らかにした。この反応は、金属-炭素結合を有する有機金属錯体の合成ストラテジーに新しい道を開くと期待される。 さらに今年度は、光学活性カルボジホスホランと、その遷移金属錯体の合成を検討した。キレート型不斉リン化合物(BINAP)をカルボジホスホランのバックボーンとして導入し、光学活性なカルボジボスホランを開発した。さらにこれを使って、種々の遷移金属錯体の合成を検討した。得られたBINAPカルボジホスホランの反応性を、DFT計算を交えて、多角的に考察した。
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Research Products
(8 results)