2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲスト分子取り込み機能を有するフォトクロミック金属錯体の合成
Project/Area Number |
19550073
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宗像 恵 Kinki University, 理工学部, 教授 (80090942)
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Keywords | フォトクロミズム / ソルバトクロミズム / 配位高分子 / ジアリールエテン / コバルト錯体 / 結晶構造 |
Research Abstract |
カルボキシル基を有するジアリールエテン化合物である1, 2-bis(2'-methyl-5'-(carboxylic acid)thien-3'-yl)perfluorocyclopentene (BM-5-CATP)は両端のカルボキシル基が金属に配位する事で、cavityを有するフォトクロミック多孔性配位高分子を与える可能性がある。本研究ではBM5-CATPを用いて、Co(II)錯体[Co(BM-5-CATP)(py)_2(MeOH)_2] (1)の合成に成功し、錯体1の単結晶X線構造解析を行った。BM-5-CATPのカルボキシル基と2分子のMeOHおよびpyridineがCoに配位した一次元鎖構造を形成しており、残念ながら多孔性配位高分子ではなかった。しかし、固体状態でフォトクロミズムを示すことが分かった。1の開環体は赤色で幅広い吸収を500nm付近に示すが、これに306nmの光を照射すると575nmにλmaxを有する濃青色の閉環体に変化した。この閉環体に575nmの光を照射すると575nmの吸収帯の減少と共に元の赤色の開環体のスペクトルに戻った。 赤色の1を75℃で加熱する事で2分子のMeOHが脱離し、紫色の[Co(BM-5-CATP)(py)_2] (2)を与える事が分かった。その後、MeOH蒸気下に一日静置することでMeOHが再配位し、赤色の元の錯体[Co(BM-5-CATP)(py)_2(MeOH)_2]に戻る事を見いだした。つまり、可逆的にMeOHを脱離、再配位する事が示された。これにより1はフォトクロミズムだけでなく、溶媒の吸脱着で色が変化するソルバトクロミズム(solvatochromism)の両方を示す初めての錯体を見いだした。
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