2008 Fiscal Year Annual Research Report
液状イオン会合体の高濃縮抽出溶媒としての評価と環境分析への応用
Project/Area Number |
19550081
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
波多 宣子 University of Toyama, 理工学研究部(理学), 准教授 (90134999)
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Keywords | 液状イオン会合体 / E_T値 / 抽出溶媒 / 高濃縮 / 重金属 |
Research Abstract |
液状イオン会合体の高濃縮抽出溶媒としての評価 有機陽イオンと有機陰イオンの組み合わせを変え,生成した種々のイオン会合体のE_T値,電気伝導度,水分含量などとの関係を調べた。対象物質の分配定数(log K_d)を求め,疎水性の尺度であるオクタノール/水分配定数K_<ow>と比較することにより抽出能を調べた。(1)抽出挙動 液状イオン会合体IAPが有機無電荷成分のみならず,有機陽イオン・陰イオンも効率よく抽出するという従来の抽出溶媒にはない特異な性質があることを見出した。有機無電荷成分のみが抽出されるトルエン抽出とは著しく異なることがわかった。(2)E_T値 液状イオン会合体のE_T値(Reichardt's dyeで測定)は水溶性溶媒である2-プロパノールと同程度と,通常の抽出溶媒に用いられる溶媒よりも極性が高いことが分かった。(3)含水率 含水率の高い液状イオン会合体ほど極性が大きいことがわかった。(4)電気伝導度 液状イオン会合体の電気伝導度を測定したが,規則性を見いだせなかった。 液状イオン会合体の環境分析への応用 水相からの液状有機イオン会合体相の多層生成によるホルムアルデヒド定量法を開発し,第69回分析化学討論会において発表した。水相からの液状有機イオン会合体への抽出を利用する環境水中のニッケルの高濃縮/黒鉛炉原子吸光光度定量法を開発し,日本分析化学会第57年会において発表した。環境水中の多環芳香族炭化水素(PAH)のイオン会合体抽出/HPLC定量法を開発したが,詳細は検討中である。 まとめ 液状イオン会合体IAPは極性が高く,有機無電荷成分のみならず,イオン対抽出の優れた媒体であることがわかった。
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Research Products
(7 results)