2007 Fiscal Year Annual Research Report
触媒反応を利用する有害金属元素の高感度オンサイト定量法の開発
Project/Area Number |
19550084
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川久保 進 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90143958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 保任 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (20262644)
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Keywords | 環境分析 |
Research Abstract |
本研究は、環境水や排水などに含まれる有害金属元素の調査や監視のために、触媒反応に着目した新しい高感度オンサイト分析(現場分析)を開発することを目的とする。本年度は、過酸化水素によるο-フェニレンジアミンの酸化発色反応においてクロムが触媒作用示すことを利用したクロムを比色定量を検討した。反応条件を検討した結果、触媒作用が大きく、一定の反応温度で吸光度A(反応生成物の濃度に相当)が触媒濃度(分析成分濃度)Cと反応時間tにのみ依存する関係式A=kCt+k_bt(kとk_bは定数)に近似できる条件を得た。そこで、一定反応時間の吸光度を測定してクロムを定量することにした。25℃で10分間反応させたとき、分光光度計のクロムの検量線は1.2μg/mlまで直製性があり、検出限界は2ng/mlであった。実際の河川水に応用できる程度の分析感度が得られた。オンサイト分析では、器具や装置の携帯や分析スペースなどの制約をから、反応温度の制御なしに分析できることが望ましい。上式から、試薬ブランクの反応が無視できるとき(k_bt=0)、一定の発色を示す反応時間はクロム濃度に反比例する。これより、色標準と同じ発色示す既知濃度C_sのクロムの反応時間がt_sであり、同じ反応温度で未知濃度Cの反応時間がtである場合、反応温度が分からなくてC=C_st_s/tより定量でき、オンサイト目視分析への適用が期待できた。一方、本反応では、反応温度が異なっても反応温度に応じて反応時間を変えれば、一定のクロム濃度に対して一定の吸光度を得ることができた。一定の吸光度を示す反応温度と反応時間の関係を実験的に求め、反応温度の影響を反応時間で補正すれば、分析場所の温度で反応させて小型比色計で測定するオンサイト計測が可能になるであろう。
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