2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒反応を利用する有害金属元素の高感度オンサイト定量法の開発
Project/Area Number |
19550084
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川久保 進 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90143958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 保任 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (20262644)
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Keywords | 環境分析 |
Research Abstract |
環境水や排水などに含まれる有害金属元素の調査や監視のために、触媒反応に着目した新しい高感度オンサイト分析(現場分析)を開発した。クロムのオンサイト定量法は昨年度の成果を基に開発を継続した。色標準と同じ発色を示す反応時間をクロム標準溶液と試料について求め、定量した。発色の一致を目視で判断する場合、10ng/mlのクロムが約30%の誤差で定量できた。機器計測法では、470nmに最大発光波長をもつ発光ダイオードを光源とする小型比色計(10cm×7cm×5cm)を作製し、一定反応時間のときの吸光度を測定してクロムを定量した。一定吸光度を与える反応時間と反応温度の関係式を求め、反応温度に合わせて反応時間を変えて吸光度を測定し、検量線作成時と同じ温度の吸光度が得られるようにした。これにより、現場で反応温度の制御や検量線の作成をしなくても分析ができるようになった。クロムの検量線の直線範囲は0〜1μg/mlで、検出限界は3ng/mlであった。鉄の影響が大きく、河川水に応用する場合は分離が必要であった。研究代表者が以前に開発した過ヨウ素酸塩によるマラカイトグリーンの酸化退色反応を利用してマンガンのオンサイト定量法を開発した。反応初期に退色を示さない期間(誘導期)があるが、退色して一定吸光度を示す反応時間の逆数1/tがマンガン濃度に比例することを発見し、小型比色計(630nm)で定量できるようになった。反応温度、1/t、マンガン濃度の間の関係式を求め、任意の反応温度のときの1/tを検量線作成時の反応温度の値に換算した。これにより、反応温度の制御や検量線の作成をしなくてもオンサイト分析できるようになった。マンガンの検量線の直線範囲は3〜20ng/mlで、検出限界は0.6ng/mlであった。本法は湖水や河川水の分析に応用できた。
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