2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角井 伸次 Osaka University, 環境安全研究管理センター, 助教 (30252604)
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Keywords | ノニルフェノール / 構造解析 / 化学イオン化 / アセトニトリル / 異性体 |
Research Abstract |
本年度は、主に各種ノニルフェノール(NP)異性体の合成を中心に行った。合成が困難なβ位にアルキル分岐を持つNP異性体は、β位にエステル基を持つアルケンとのFriedel-Craftsアルキル化をキーステップとして合成した。その結果中間体として生成するカチオンのβ位にエステル基が存在するため、転位は起こらずに比較的効率よく合成可能であった。合成したNP異性体は、合計12種類である。 これらのNP異性体のうち、主鎖がヘキシル基で、α位(ベンジル位)にジメチル分岐を持ち、かつ主鎖上の異なる位置にメチル基を有する構造の5種のNPを、EI及びCIによるイオン化を用いて質量分析を行った。 EIによるイオン化では、すべてのNP異性体がベンジルカチオンを与えるため、ノニル基の分岐構造情報は、ベンジル位に限られていた。TMS誘導体化して分析を行った場合も同様の結果が得られた。 NP異性体をTMS化し、CI-MSにより分析した。イソブタンによるCI-MSでは[M+1]^+であるm/z293のイオンが生成した。この[M+1]^+についてCI-MS/MSを行ったが、α位以外の構造に関する情報は得られなかった。次にアセトニトリルによるCI-MSを検討したところ、[M+13]^+であるm/z305のイオンが生成した。この[M+13]^+についてもMS/MSを行ったところ、NP異性体の構造によってスペクトルに違いが現れた。β位及びγ位にメチル基を持つ場合、m/z305のイオンからm/z221のイオンが高い選択性で生成した。それら以外の異性体は、複雑なスペクトルを与えた。この[M+13]^+(m/z305)の構造は、フェニル基が重水素化されたNP-d_4や試薬ガスにCD_3CNを用いた検討の結果、トロピリウムイオンが生成していること、およびm/z305からm/z221の生成はアルケンの脱離によるものと考えている。
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