2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550096
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
長谷川 佑子 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (20084303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 教授 (10147506)
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Keywords | 溶媒抽出 / 蛍光 / 希土類 / β-ジケトン / 協同抽出 / 亜鉛(II) / ビス(サリチリデン)シクロヘキシルジアミン / 共抽出 |
Research Abstract |
ユウロピウム(III)(Eu(III))がβ-ジケトンと強いルイス塩基とによって協同抽出される際、生ずる三元錯体は非常に安定であり、また、 Eu(III)の蛍光を著しく増感する。ルイス塩基としてビス(サリチリデン)トリメチレンジアミン(H_2(saltn))を使うと、配位原子が4つあるにもかかわらず、2,2'-ビピリジルより不安定な錯体を作り蛍光増感作用も小さい。これはH_2(saltn)が分子内水素結合を作るためであると結論した。 従来、金属イオンの抽出種に他金属が混入する共抽出は分離効率を阻害する現象として避けるべきものであった。本研究でH_2(saltn)の代わりにZn(saltn)を使うと蛍光が著しく増加した。しかしながら、 Zn(saltn)は水と接触すると亜鉛イオンがsaltnから抜け出す。そこで、水相に亜鉛イオンを過剰に加えて抽出を行ったところ、Eu(III)の抽出は改善されることを昨年度(19年度)に見つけた。しかしながら問題点として、 Eu(III)を抽出した有機相の蛍光強度が同じ濃度の合成した錯体に比べて小さいことがあった。試行錯誤の結果、pHを高め、β-ジケトンの濃度を下げることによって、目的とする錯体の抽出効率を下げずに蛍光強度を合成した錯体と同程度にまで高めることに成功した。 本研究により、わずか数分の振り混ぜによって蛍光体として有効な錯体を調製する方法が確立された。従来分離の観点から不利であった2種の金属イオンの共抽出によって有用な蛍光体を作り出すことができた。この意味で本研究は溶媒抽出法を分離分析以外に応用範囲を拡大することになり、分析化学の発展に貢献したことに特色があり、評価できる。
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Research Products
(8 results)