2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造基板によるプロテオミクスのための高感度タンパク質検出法の開発
Project/Area Number |
19550098
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 Tokyo University of Technology, 応用生物学部, 准教授 (40262109)
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Keywords | プロテオミクス / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究では、血液や細胞抽出液などに含まれる微量タンパク質を高感度に検出することを目的とする。そのためのフォーマットとして、多様な薄膜が積層化されたナノ構造基板を作製する。具体的には、まず基板上にプラズマ重合法やスパッタなどを駆使することによって、金属膜と誘電体膜の積層構造を構築する。それらの基板上で、Cy3などの蛍光色素で標識されたタンパク質(標識抗原、標識二次抗体など)の高感度検出を試みる。 平成20年度では、まずガラス基板上に金属膜としてAg膜、誘電体膜としてプラズマ重合法により製膜したヘキサメチルジシロキサン(HMDS)膜を有するナノ構造基板を構築した。その上にCy3標識抗mouse IgG抗体をスポッティングし、蛍光シグナルの増強度を観察した。その結果、HMDS膜の膜厚を50〜70nmにすることにより、本ナノ構造基板は未修飾のガラス基板よりも蛍光強度を15〜20倍に増強できることが確認できた。 次にmouse IgGとrabbit IgGの溶液をそれぞれ基板上にスポッティングし、Cy3標識抗mouse IgG抗体と相互作用させることによって、ナノ構造基板上で特異的な抗原抗体反応が起こり、さらに蛍光強度の増強が観察されるかを評価した。その結果、mouse IgGからの蛍光強度は未修飾基板を用いたときと比較して最大約58倍となった。一方、rabbit IgGからの蛍光シグナルはほとんど観察されなかった。以上より、ナノ構造基板上で特異的な抗原抗体反応に由来する蛍光シグナルを数十倍に増幅できることが示された。
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