2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造基板によるプロテオミクスのための高感度タンパク質検出法の開発
Project/Area Number |
19550098
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 Tokyo University of Technology, 応用生物学部, 准教授 (40262109)
|
Keywords | プロテオミクス / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究では、血液や細胞抽出液などに含まれる微量タンパク質を高感度に検出することを目的とした。そのためのフォーマットとして、多様な薄膜が積層化されたナノ構造基板を作製した。具体的には、まず基板上にプラズマ重合法やスパッタなどを駆使することによって、金属膜と誘電体膜の積層構造を構築した。それらの基板上で、Cy3などの蛍光色素で標識されたタンパク質(標識抗原、標識二次抗体など)の高感度検出を試みた。 平成21年度では、まずガラス基板上に金属膜としてAg膜、誘電体膜としてプラズマ重合法により製膜したヘキサメチルジシロキサン(HMDS)膜を有するナノ構造基板を構築した。その上にCy3標識抗mouseIgG抗体をスポッティングし、蛍光シグナルの増強度を観察した。その結果、HMDS膜の膜厚を50~70nmにすることにより、本ナノ構造基板は未修飾のガラス基板よりも蛍光強度を15~20倍に増強できることが確認できた。 また複数の抗原抗体反応を同一基板上で行った場合においても、蛍光を増強することができるか確認を行った。mouse IgGとmouse C-reactive protein(CRP)-monoclonal antibody(MCA)、rabbit IgG、rabbit CRP-MCAの4種類の抗原を用い、Cy3標識抗mouse IgG抗体と相互作用させた。蛍光強度を測定した結果、mouse IgGのサンプル濃度が10μg/mlの時、蛍光増強度が約21倍となった。またmouse CRP-MCAのサンプル濃度が10μg/mlの時、蛍光強度が約14倍となった。 以上より、ナノ構造基板上で特異的な抗原抗体反応のシグナルを増幅できることが示された。
|