2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素不飽和結合を含む系における炭素-炭素結合形成反応の開発と有用な変換反応の設計
Project/Area Number |
19550102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90153650)
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Keywords | アリル化反応 / ピコリン酸基 / Grignard試薬 / 有機リチウム / 銅試薬 / ロキソプロフェン / エコール / エポキシイソプロスタンA_2ホスホコリン |
Research Abstract |
昨年度の基盤研究Cにて,鎖状のアリルアルコール誘導体(基質)のアリル化反応を位置選択的かつ立体選択的に行なわせる脱離基としてピコリン酸基(pyridyl-C(=O)O-)を見いだした。本年度はこの反応の拡張と応用研究を行った。まず,この反応系を拡張するため,有機リチウム(RLi)から調製した銅試薬が使えるかどうか検討した。当初,我々は銅試薬をGrignard試薬(RMgBr)とCuBr・Me_2Sから合成していたが,この時の条件下ではRLi由来の銅試薬は反応性も選択性も低く,副反応も進行した。ところが, MgBr_2共存下では反応が加速され,かつ高選択的に反応した。この発見により, RMgBr経由では合成できない試薬,例えば,シス・アルケニル試薬やヘテロ環から成る試薬を使ったアリル化反応が可能になった。また,オルソリチエーション等を経由する調製法もアリル化反応に使えることが判明した。これらのことにより,試薬の選択範囲,試薬の調製法に幅を持たせることができた。応用研究では,アリル化反応を2度活用して抗炎症剤として知られているロキソプロフェンの活性本体(服用し,体内で変換されて生ずる)の合成を行った。さらにこの合成研究の際,環状のアリルピコリン酸のアリル化反応を検討し,上述した鎖状の系とは異なる反応条件を見いだした。植物エストロゲンの一種として知られているエコールの光学活性体の合成では芳香環から成るGrignard試薬を調製し,これを銅試薬に変えてピコリン酸アリルと反応させた。芳香環から成る銅試薬は一般に選択性が低くなるが,我々の反応系では位置・立体選択的に反応した。また,アリル化反応を活用して動脈硬化の原因物質と言われているエポキシイソプロスタンA_2ホスホコリンと核内レセプターに作用するΔ^<12>-プロスタグランジンJ_2類の合成に成功した。
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Research Products
(5 results)