2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素不飽和結合を含む系における炭素-炭素結合形成反応の開発と有用な変換反応の設計
Project/Area Number |
19550102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90153650)
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Keywords | アリルピコレート / アセチレン銅試薬 / 4級炭素の構築 / 植物エストロゲン / イソフラボノイド / プロパルギルピコレート |
Research Abstract |
新しく見いだしたアリル化反応系(アリルピコレート+RMgBr/CuBr)の適応範囲を拡張する研究とこの反応を使った生理活性化合物の合成研究を行ない以下の成果を挙げた。 (1) RMgBrとしてアセチレン銅試薬を反応させることに初めて成功した。反応は,anti-SN2'で進行した。また,生成物のアセチレンに対するクリック反応は問題なく進行した。 (2) ところが,基質として五員環状アルコールのピコレートを用いると,反応の効率は極度に低下した。幸いなことに,溶媒としてCH2Cl2を用いると効率的に反応した。現在,CH2Cl2の効果を他の系に応用し,成功しつつある。 (3) 6員環上に4級炭素を構築する研究を行った。この場合,反応する炭素原子上での立体障害が大きく,そこでの反応は遅く,かつ位置選択でなかった。しかし,この系にZnX2を入れると,反応性も位置選択性も向上した。立体選択性は問題なく高水準を維持し,椅子型コンホメーションに対して立体的に空いている側で反応した。 (4) この反応を活用して植物エストロゲンの一種である(S)-equolや関連するイソフラボノイドの合成に成功した。 (5) 基質としてアリルピコレートの代わりにプロパルギルピコレートを用いて同様の反応を検討した。キュープレート型試薬を用いるとプロパルギル位で反応し,反対に,カッパー型試薬を用いるとアセチレン側で反応してアレンを生じた。この反応は立体選択的に進行した。この反応を活用して,抗腫瘍活性化合物をいくつか合成した。
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Research Products
(5 results)