2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550105
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高部 圀彦 Shizuoka University, 工学部, 教授 (30022239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 暢之 静岡大学, 工学部, 准教授 (40313936)
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Keywords | 有機分子触媒 / 生体触媒 / 不斉α-ヒドロキシメチル化 / ワンポット合成 / 光学分割 |
Research Abstract |
医薬、農薬、香料などのバイオファインケミカルズの環境調和型不斉合成を行うために、前年に続いて、有機分子触媒と生体触媒を連続的に使用したキラル分子の合成を目的として検討した。 δ-ラクトン類は生理活性物質の合成中間体として重要な化合物であり、シクロペンタノンの有機分子触媒的α-ヒドロキシメチル化を鍵反応としたラクトン類の合成について検討した。アミノ酸系有機分子触媒としては、本反応にトレオニンが最も優れており、シクロペンタノン以外に6,7,8員環ケトンにも有効な触媒であることが明らかとなった。得られたヒドロキメチルシクロアルカノンのバイヤービリガー反応を利用してδおよびε-ラクトンを合成した。この研究は香料として有用なジャスミンラクトンの合成にも利用できた。 トレオニンを用いたシクロペンタノンのα-ヒドロキシメチル化反応によって得られるα-ヒドロキメチルシクロペンタノンのeeは82%であったので、eeを向上させるためにラセミ体のリパーゼによる光学分割を行った。その結果、リパーゼ(特にLipozyme)により光学分割が効率的に進行することが明らかとなった。トレオニンによって得られたeeが82%のヒドロキシメチル体を用いてeeの向上を目指してLipozymeにより酵素的光学分割を行ったところ、目的物のeeを96%まで向上することができた。上記の結果を利用して、有機分子触媒と生体触媒のタンデム的ワンポット合成による環境調和型不斉合成反応について検討した。シクロペンタノンの不斉ヒドロキシメチル化では収率53%で、88%eeの目的物を得ることが可能となった。 以上の結果から、目的とした有機分子触媒と生体触媒のタンデム的ワンポット合成が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)