2008 Fiscal Year Annual Research Report
高官能基選択的な有機還元剤の開発とそれを用いる還元的分子変換反応の開発
Project/Area Number |
19550108
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒星 学 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (30242316)
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Keywords | 有機還元剤 / 電解還元 / ビオロゲン / カップリング反応 / Pd触媒 / 芳香族ハロゲン化物 |
Research Abstract |
有機還元剤の前駆体として4,4' -ジビピリジニウム化合物を設定し、その合成と電解還元による有機還元剤の発生について検討した。モデル反応としては、パラジウム触媒を用いる芳香族ハロゲン化物の還元的カップリング反応を取り上げ、本系で発生する有機還元剤の効率・反応性について検討した。その結果、 1)4,4' -ジ置換ビピリジニウム化合物を電解還元すると、還元性を示す有機反応剤(有機還元剤)を発生することができる。その際、4,4' -ジ置換ビピリジニウム化合物を適切に設計することにより、溶媒として有機溶媒・イオン性液体・水など、さまざまなものが使用できる。サイクリックボルタンメトリーによる電気化学的解析から、この還元剤はその構造にも依存するが、亜鉛に匹敵する還元力を示すことがわかった。 2)4,4' -ジ置換ビピリジニウム化合物を電解還元して発生する有機還元剤とパラジウム触媒とを組み合わせて用いることにより、芳香族ハロゲン化物の還元的カップリングが起こり、相当するビアリール化合物が得られることがわかった。特に、水を溶媒に用いた場合にも、4,4' -ジ置換ビピリジニウム化合物に両親媒性基(ポリエチレンオキシ基)を導入することにより、目的とする還元的カップリング反応が効率よく進行することを見つけた。 3)4-置換ピリジニウム塩型の反応剤を設計・調製し、これが4,4' -ジ置換ビピリジニウム化合物と同様に有機還元剤の前駆体として機能することを予備的に明らかにしており、現在その分子設計・反応設計を行っている。
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Research Products
(13 results)