2007 Fiscal Year Annual Research Report
トリクロロシラン還元の新展開を目指した活性化剤の開発とその利用
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19550109
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾野村 治 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60304961)
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Keywords | トリクロロシラン / 高配位ケイ素 / 不斉還元 / プロリン / 光学活性アルコール / 光学活性アミン / ジアステレオ選択性 / エナンチオ選択性 |
Research Abstract |
本研究は、安価で容易に供給されるトリクロロシラン(Cl_3SiH)を還元剤として、有機分子を活性化剤として用いたケトン、イミンの高度不斉分子変換を行おうとするものである。以前の研究で見出したトリクロロシランの不斉触媒的活性化剤(A)の大量合成に適したcis選択的なプロリン5位へのアリール基導入法を開発した。それにより、これまでそのtrans異性体との混合物からカラムクロマトグラフィーで精製して得ていたAの取得が容易になった。その結果、種々のケトンの高効率不斉還元が可能となり、有用光学活性アルコールを合成できるようになった。 また、プロリンの窒素保護基を精査することにより、trans選択的なプロリン5位へのアリール基導入法も開発できた。これにより、C_2対称光学活性2,5-ジアリールピロリジン誘導体の取得が容易となった。その結果、種々のイミンの高効率不斉還元が可能となり、有用光学活性アミンを合成できようになった。また、この化合物がアリルトリクロロシランを活性化し、アルデヒドの不斉アリル化の可能性も示すことができた。 さらに、これまで全くトリクロロシランの活性化剤となる可能性の知られていなかった、化合物からスクリーニングすることにより、いくつかの新規活性化剤の候補を見出すことができた。スルホンアミド構造を持つこれらの化合物の構造最適化を行えば、これまで難しかった不飽和ケトンの不斉還元や各種イミンの高エナンチオ選択的不斉還元の達成も可能となることが期待できるようになった。
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