2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケラサイクルを活性中間体とする不飽和炭化水素化合物のタンデム反応
Project/Area Number |
19550110
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木村 正成 Nagasaki University, 大学院・生産科学研究科, 助教 (10274622)
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Keywords | ニッケル / ジエン / アルキン / アルデヒド / 多成分連結反応 / タンデム反応 / ジエチル亜鉛 / イミン |
Research Abstract |
ニッケル触媒及びトリエチルホウ素存在下、デオキシリボース又はグルコース等の単糖類と共役ジエンを反応すると、単糖類に対するホモアリル化反応が進行し、ビスホモアリルアルコールを与える反応を見出した。同条件下、一級アミン共存下で反応を行うと、系中で発生したN,O-アセタールに対するホモアリル化反応が進行し、ビスホモアリルアミンを1,3-選択的に与えた。水を溶媒に用いても同形式の反応が進行することから、ニッケル触媒作用を活用したホモアリル化反応の高い許容性が明らかになった。 ニッケル触媒存在下、ジメチル亜鉛、アセチレン、共役ジエン、アルデヒド、一級アミンを反応させると、5成分がそれぞれ1分子ずつ位置及び立体選択的に付加反応し、オクタジエニルアミンを一挙に与える反応を見出した。アセチレンの代わりにノルボルネンを用いると、メチル基、ノルボルネン、ジエン、アルデヒド、アミンが1分子ずつ順次に付加反応を起こし、5成分連結反応が進行した。この場合、ボスフィンリガンドとしてdppfを用いると、共役ジエンが2量化反応を起こしつつ、同様の多成分連結反応が進行した。これはホスフィンリガンドとニッケル共存下では、共役ジエンが2量化反応を容易に起こし、ビスアリルニッケル中間体がカルボニル類に対する求核剤として作用することで6成分連結反応が進行するものと考えられる。以上のように、有機ホウ素、有機亜鉛を促進剤又は炭素源として用いることにより、高位置及び高立体選択的な炭素-炭素結合形成反応が可能になった。本反応はいずれも、ニッケラサイクルを中間体に介した反応機構で進行していると考えられる。
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