2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケラサイクルを活性中間体とする不飽和炭化水素化合物のタンデム反応
Project/Area Number |
19550110
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木村 正成 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (10274622)
|
Keywords | ニッケル / 有機亜鉛 / 共役ジエン / アルキン / 多成分連結 |
Research Abstract |
金属触媒を用いた有機合成反応は、化成品製造から医薬品合成開発に至るまで多岐の分野に渡り活用されている。申請者は、ニッケル触媒とトリエチルホウ素共存下、共役ジエンとアルデヒドを反応すると還元的カップリングが進行することを見出した。アリル化反応よりも更に一つ炭素鎖が長いホモアリル化反応が進行している点が特徴である。イソプレンを用いた場合には、1位炭素とアルデヒドが付加反応を起こし、3-メチル-4-ペンテノールが1,3-アンチ選択的に得られた。本反応は高位置及び高立体選択的に進行し、様々なジエンやケトンの反応に対しても適用でき、基質許容性は極めて高い。本反応はグラムスケールでも高収率及び高選択的に進行し、生成物は蒸留するだけで単離精製が可能になった。 ジメチル亜鉛を用いると反応様式が異なる。共役ジエンに対してジメチル亜鉛とアルデヒドが1,4-付加反応を起こし、ホモアリルアルコールが選択的に得られた。 ニッケル触媒存在下、ω-ジエン-インに対してω-ヒドロキシアルキルアルデヒドとジメチル亜鉛を反応させたが反応は全く進行しなかった。一方、一級アミンを共存させ同様な反応を試みるとジエン-イン、ラクトール、アミン、ジメチル亜鉛の5成分が一挙に付加反応を起こし、ヒドロキシホモアリルアミンを単一生成物として与えた。 興味深い点はアミンが共存した場合にのみ多成分連結反応が進行することにある。しかしながら未だ1位と5位における絶対配置は明らかになっておらず、詳細な反応機構の解明を行うためにも立体化学の決定が急務である。 今後、構造決定を明らかにした上で、様々なラクトールやアミンとの反応を試み、なぜこのような反応性に違いが生じるのか検証していきたい。また、ラクトールとして単糖類を、アミン成分としてアミノ酸を用いた有用生理活性物質の探索を現在、行っでいる。
|
Research Products
(9 results)