2008 Fiscal Year Annual Research Report
動的コンビナトリアル化学の手法を用いるキラルリセプターの構築
Project/Area Number |
19550111
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 朝夫 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 教授 (50155818)
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Keywords | 動的コンビナトリアル化学 / エナンチオ選択性 / リセプター / 受容体 / ホスト分子 / テンプレート / クラウンエーテル / シクロデキストリン |
Research Abstract |
本研究では,コンビナトリアル化学の新しい手法である動的コンビナトリアル化学を利用して,キラル化合物の鏡像体の一方をエナンチオ選択的に結合するリセプター(受容体,ホスト分子)を合成する新たな手法を開発する.カリックスアレーンやシクロデキストリンのような大環状化合物を骨格として選び,これらに3つ以上の異なる置換基を導入して,高いエナンチオ選択性をもつリセプター分子を合成することを目標とする.その際,官能基の導入位置を決めるために,ターゲットとするリガンドをテンプレートとして利用し、動的コンビナトリアル化学の手法によって,もっともリガンドの捕捉に適した位置だけに官能基が導入されるように誘導する. 本年度は,アミノ基をもつ化合物のリセプターを合成するために,アミノ基との双補性の高いクラウンエーテル残基を,土台となるシクロデキストリン上の特定の位置に導入する手法の開発を目指し,メルカプト基を有するクラウンエーテル誘導体を合成した.このクラウンエーテル誘導体がアミノ基をもつ化合物との間で包接錯体を形成することを,マススペクトルによって確認し,さらに,この誘導体が,ジスルフィド交換反応によってメルカプト基を持つ化合物と結合することを確かめた.分子の両末端にメルカプト基を持つ化合物を,分子の両末端にアミノ基を持つテンプレート化合物と共に上記のクラウンエーテル誘導体と反応させると,分子の両末端にクラウンエーテル残基をもつリセプター分子が合成された. 来年度は,シクロデキストリン誘導体を土台とするリセプター合成を完成させる予定である.
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