2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550115
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
村橋 俊一 Okayama University of Science, 工学部, 客員教授(常勤扱) (60029436)
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Keywords | 酸素酸化触媒反応 / C-H結合活性化 / ルテニウム触媒 / Biomimetic反応 / アミンノ酸化 / シアノアミンの合成 / オキシムの合成 |
Research Abstract |
我々はすでに、ルテニウム触媒存在下、アルキルヒドロペルオキシドや過酢酸等の酸化剤を用いることにより、第3アミン、アミド、β-ラクタムの酸化が効率よく進行し、窒素の隣接位に酸素官能基を導入できることを見出している。さらにグリーンな触媒反応の開発を目的として、過酸化物の代わりに分子状酸素を酸化剤に用いて酸化条件下で生成するイミニウムイオン中間体を炭素求核剤で捕獲することにより直接炭素-炭素結合形成を行うという2つの条件を同時に満たす反応の開発を行った。その結果、ルテニウム触媒および分子状酸素の存在下、第3アミンのα位のシアノ化反応が行えることを見出した。 種々の遷移金属触媒の効果を調べたところRuCl_3が有効であることが判明した。溶媒としてはメタノール-酢酸(3:1)の混合溶媒が最も効果的であった。具体的には、N,N-ジメチルアニリンと1.2等量のNaCNとを5mol %のRuCl_3触媒存在下、メタノール-酢酸(3:1)の混合溶媒中、1気圧の酸素雰囲気下、60℃で2時間反応させると、転化率は99%でα-アミノニトリルが93%生成した。この反応は種々の第3アミンに適用でき、環状のアミンのイソキノリン誘導体からも効率よくシアノ化生成物が得られた。 反応機構に関しては、パラ置換N,N-ジメチルアニリンのシアノ化反Hammettプロットよりr=-3.35の値を得た。パラ置換N-メチルN-トリジュウテリムメチルアニリンを用いて重水素同位体効果を調べ、置換基によりk_H/k_Dが明確に異なるということ(k_H/k_D=4.2 (p-MeO), 3.1 (p-Me), 2.4 (p-H), 1.1 (p-Br))を見出した。これらの結果から、本反応はまずアミンからルテニウムヘ一電子移動が起ることが明らかとなった。
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