2010 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激による結晶内微小空間の構造制御とその機能材料への応用
Project/Area Number |
19550121
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
玉井 良則 福井大学, 工学研究科, 准教授 (50324140)
|
Keywords | 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 計算物理 / 環境材料 / 表面・界面物性 / 結晶 / 分離膜 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は,分子動力学(MD)シミュレーションを用いて,キャビティーを有する高分子結晶に応力などの外部刺激を与えたときの構造変化を再現し,それによって引き起こされる結晶内微小空間の構造変化を定量的に解析する。外部刺激と微小空間におけるポテンシャル場の関係を,分子レベルから定量的に解析することにより,ゲスト分子が感じるポテンシャル場が微小空間の変化によってどのように変化するかを解明する。人為的な刺激により微小空間の構造を変化させることができれば,結晶内微小空間の機能性を自在にコントロールすることが可能になり,分離膜などの機能材料に応用できる可能性がある。 今年度は,シンジオタクチックポリスチレン(s-PS),およびシンジオタクチックポリメチルスチレン(s-PMS)の包接結晶に加えて,インバートガラスやタンパク質結晶も対象としてシミュレーションを進めた。結晶構造に静水圧や応力(一軸延伸,圧縮,ひねり等)を印加することによって結晶構造を変化させ,それに伴う結晶内微小空間の形状,大きさ,および,結合性の変化を定量的に解析した。特に,CO_2の分離を念頭におき,s-PS包接結晶の応力挙動を入念に解析し,結晶内に比較的大きなキャビティーを残存させつつ,キャビティーの形や結合性をCO_2の効率的分離に最適な形状に変化させることを目指した。現在のところ,この微妙な条件を見出すには至っていないが,継続的に研究を進めているところである。
|