2007 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素媒体中におけるニトロキシル法を用いた制御/リビングラジカル重合
Project/Area Number |
19550125
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
PER B. Zetterlund Kobe University, 工学研究科, 准教授 (20322365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 政芳 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30031131)
|
Keywords | 制御 / リビングラジカル重合 / ニトロキシド / 超臨界二酸化炭素 / 沈殿重合 / 分子量分布 / スチレン / グリーンケミストリー / 環境適応型 |
Research Abstract |
本研究は,制御/リビングラジカル重合法のひとつであるニトロキシド法を超臨界二酸化炭素中での沈殿重合系へ適応し,その合成法の確立とともにリビング性の制御について検討を行った。ニトロキシドとして2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-オキシ(TIPNO),及びN-tert-ブチル1-N-[1-ジエチルフォスフォノ(2,2-ジメチルプロピル)](SGI)を用い,超臨界二酸化炭素中でのスチレンの沈殿制御/リビングラジカル重合を行った。独自に設計した25mlのステンレス耐圧容器中で110℃,30MPaの条件下で行った。アルコキシアミンは重合中に開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルとの反応により生成した。予備実験の結果,超臨界二酸化炭素中において重合後,減圧により媒体を除去すると生成物が粉末状態で得られるほど高重合率に達していることがわかった。数平均分子量は重合率とともにほぼ直線的に増加しており,分子量分布も狭く,重合挙動はリビング状態で進行していることを明ちかにした。さらに,いずれのニトロキシドにおいても超臨界二酸化炭素中で得られた高分子は,トルエン中で得られるものより優れたリビング性を示していた。この現象は,我々の知る限り,不均一系での制御/リビングラジカル重合が均一系より優れていることを示した最初の例であり,ラジカル重合の制御を向上させる上で超臨界二酸化炭素が有用であることを示しているものである。以上の結果は,制御/リビングラジカル重合の最適化というだけでなく,不均一系での制御/リビングラジカル重合が工業化においても有用であることを示す重要な結果である。
|