2007 Fiscal Year Annual Research Report
アミロース生成重合場での包接錯体形成を利用した高分子の超精密認識分離
Project/Area Number |
19550126
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 Kagoshima University, 大学院・理工学研究科, 教授 (30241722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 芳郎 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80404474)
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Keywords | アミロース / 包接錯体 / 重合反応 / 認識分離 / 超分子 |
Research Abstract |
アミロースはグルコースがα(1→4)-グリコシド結合でつながった多糖であり、その糖鎖はらせん構造を形成している。このらせん内部は疎水場であるために、様々な疎水性低分子量化合物を包接することが知られている。すでに研究代表者は、"つる巻き重合"という高分子間で包接錯体を得る手法を用いて、アミロースとポリエーテルやポリエステルからなる包接錯体の合成を報告している。本研究では、つる巻き重合におけるわずかな包接能の違いを利用して、構造が似通った2種類のポリマー混合物存在下、つる巻き重合を行うことで選択的に1種類のポリマーのみをアミロース内部に包接できることを見出した。 今回、構造が似通ったゲストポリマー混合物としてポリエーテル混合物(ポリテトラヒドロフラン(PTHF),ポリオキセタン(POXT))を用いた。選択的包接のためのつる巻き重合は、これらのポリマー混合物を酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.2、02mol/L)中に超音波洗浄器を用いて分散させ、この分散液中にプライマーであるマルトヘプタオース、モノマーであるグルコース1-リン酸ナトリウム塩(G-1-P)、触媒であるホスホリラーゼを加え40-45℃で激しく撹拌することにより行った。反応終了後、未反応のG-1-Pおよび包接されていないポリマーを取り除くために水とアセトンで洗浄した。得られた生成物の1H NMRスペクトルでは、POXTのピークはほとんど観測されなかった(PTHF:POXT=100:8)。これは、つる巻き重合によってPTHFのみがアミロース内部へ選択的に包接されたことを示している。
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