2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミロース生成重合場での包接錯体形成を利用した高分子の超精密認識分離
Project/Area Number |
19550126
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 Kagoshima University, 理工学研究科, 教授 (30241722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 芳郎 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80404474)
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Keywords | アミロース / 包接錯体 / 重合反応 / 超分子 / 並列重合 / 選択的包接 |
Research Abstract |
アミロースはグルコースがα(1→4)-グリコシド結合でつながった多糖であり、その糖鎖はらせん構造を形成している。すでに我々は、“つる巻き重合"というアミロースを生成する酵素触媒重合を利用した手法を用いて、アミロースと合成高分子からなる包接錯体の合成を報告している。しかし、つる巻き重合において包接されるゲストポリマーの種類は限定されており、これまでに包接可能であったゲストは疎水性のポリエーテルとポリエステルのみであった。今回、新しいゲストポリマーとしてメチレン鎖の長さが異なる種々の疎水性ポリカーボネートを用いて、つる巻き重合を行ったところ、包接錯体が得られることを見出した。また、メチレン鎖の数が8,10,12のポリカーボネートを用いてつる巻き重合を行った場合、メチレン鎖の数が8のポリカーボネートからはきれいな包接錯体が得られたが、メチレン鎖の数の大きいポリカーボネートの場合は包接される割合が減少した。すなわち、アミロースが疎水性の差を認識することで選択性が発現されたことを示している。また、より疎水性の強いポリマーからの包接錯体形成を可能にする目的で、アミロース生成のための酵素触媒重合と疎水性ポリエステルを生成するためのジオールとジカルボン酸のリパーゼ触媒脱水重縮合を同時に行うと(並列重合)、包接錯体が得られることも見出した。さらに、メチレン鎖の数が8のモノマーからは比較的きれいな包接錯体が得られたが、メチレン鎖の数が10や12のモノマーを用いた並列重合では、リパーゼ触媒によって形成されるポリエステルよりもモノマーの方が優先的にアミロース内部に包接された。
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