2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミロース生成重合場での包接錯体形成を利用した高分子の超精密認識分離
Project/Area Number |
19550126
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 教授 (30241722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 芳郎 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (80404474)
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Keywords | アミロース / 酵素重合 / 包接錯体 / 選択的包接 / 超分子 / 高分子混合物 |
Research Abstract |
アミロースはグルコースが(1→4)-グリコシド結合でっながった多糖であり、その糖鎖はらせん構造を形成している。すでに我々は、"つる巻き重合"というアミロースを生成する酵素触媒重合を利用した手法を用いて、アミロースと合成高分子からなる包接錯体の合成を報告している。つる巻き重合においてゲスト高分子の疎水性の強さはアミロースの包接挙動に大きく影響を与えることが分かっており、この性質を利用することで、つる巻き重合中においてアミロースが構造の似通った2種類の高分子混合物から1種類の高分子のみを選択的に包接することを見出した。例えば、同様な分子量をもつポリδ-バレロラクトンとポリε-カプロラクトンの混合物存在下、つる巻き重合を行ったところ、アミロースがポリδ-バレロラクトンを選択的に包接していることがわかった。また、分子量分布の広いポリテトラヒドロフランを用いてつる巻き重合を行ったところ、ある分子量領域のポリテトラヒドロフランが選択的に包接されることも見出した。さらに、つる巻き重合においてのポリオキセタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリδ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトンに対するアミロースの包接能の違いを検討するため、これらのゲストポリマーからすべての組み合わせの2種類のポリマー混合物を用いてつる巻き重合を行った。その結果、アミロースの包接の優先順位は、ポリテトラヒドロフラン>ポリδ-バレロラクトン>ポリオキセタン>ポリε-カプロラクトンであることがわかった。以上のように、つる巻き重合は包接錯体を形成する手法としてだけではなく、高分子を精密に見分ける手法としての発展も期待される。
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